6 山路の狛犬様

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 目が覚めたのは、お昼をだいぶ過ぎた頃だった。  まだ日が暮れていないから、狛犬は眠ったままだ。  ――昼寝どころか、本格的に眠ってしまった。  一度眠ったからか、体が軽くなり、頭もすっきりしていた。  休んで気持ちに余裕ができると、お腹がぐうっと鳴った。  私の体は正直である。  朝もお昼も食べてないことを思い出し、なにか口にするため厨房に入った。  冷蔵庫の前に毛筆で『きんぴらごぼう、卵焼き、ご飯』と書かれたメモともう一枚、『残り物ですが、どうぞ』とある。  ――すごく助かる。  冷蔵庫を開けると、昨日の残りを詰めた容器があり、冷凍庫にはラップで包んだご飯があった。  電子レンジがあるから、それで温められる。   食事をするテーブルにはお盆がひとつ。  お盆には私の茶碗と湯呑み、箸が用意され、ほこりがかぶらないよう布巾がかけられていた。 「お母さんみたい」  大きな体をした狛犬が、私のためにこれを用意してくれたのかと思うと、なんだか可笑しくて、久しぶりに声を出して笑った。  食べながら、横に置いたスマホの画面を見ると、父からメールが届いていた。
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