7 竹の春

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「どうして、私がやろうとしたことがわかるの?」 「彪助が作る姿を一緒に見てきたからだよ」  私と彼は祖父が作ったものを同様に口にしてきた。  だから、同じものを作れる。  割り箸を手にして、きんぴらごぼうが入った卵焼きを食べる。  この卵液の味は吉浪のものだったのに、きんぴらごぼうの味が馴染んで山路の味になっていた。  祖父がよく卵焼きの中に、残った切り干し大根やひじきの煮物を混ぜて、賄いや私たちの食事に出してくれたのを思い出す。  好き嫌いが多くても、卵焼きなら一緒に食べられる。 「彩友ちゃん。お弁当できたよ」 「あれ? 狛犬さん、起きたの?」 「うん。はい、どうぞ」 「わぁ。山路のだし巻き卵! ママも彩友も大好きなの」    透明なパックから見えただし巻き卵に、彩友ちゃんは大喜びしていた。 「お姉ちゃんも作ってくれたんでしょ?」 「えっと、私は……」 「そうだよ。二人で作った」  なにもできなかったことが気まずくて、うつむいていた私の顔が前を向く。  里芋の皮と切った野菜を指差していた。 「俺だけで作るより、早くできたよ」 「ありがとう! お姉ちゃん!」
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