2 お見合い

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 私が失礼で無愛想だと言っているのと同じ。  でも、私はそれを甘んじて受けるしかなかった。  私には弟が一人いる。  しっかり者の弟は、父の跡を継ぐべく、大学卒業と同時に、父の会社に入社して仕事を手伝っていた。  母も母でしたたかさがあり、お嬢様育ちだけど、学生時代の友人や実家の関係者など、普通では作れないようなコネクションを持つ。  父はそれで何度も母に助けられている。  つまり、料理人になりたいなどと言い出した娘は、家族にとってなんの役にも立たない娘なのである。  せめて親の顔を立てて、お見合いしろというわけだ。  ――しかも、料理人になるどころか無職だから、親からの風当たりが強いのも仕方がないわ。  とぼとぼと銀杏の葉と紅葉が落ちた道を歩く。  昨晩の雨で、地面にはりついた黄色と赤の模様。  蓮華楼は道の端に落ちた葉をあえて掃除せず、そのまま残し、季節の移ろいを感じてもらおうというのだろう。  駐車場を出たら、料亭までの道は立派な日本庭園が続く。  正面入り口は『蓮華楼』の看板が存在感を放っていた。 「蓮華楼さんの食事は本当によかったわ。またお願いするわね」
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