2 お見合い

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 ――美人な上に歴史ある蓮華楼の娘。お座敷に引っ張りだこの人気芸妓。気軽に結婚してくださいなんて言えないわよね。 「結婚するような気分じゃないわ」 「吉浪でうまくいかなかったって立栞は思ってるの? あそこは大きくて店も多いけど、うちに比べたら人を育てる余裕がないわ。だから、私は最初から、吉浪じゃなくて蓮華楼にしたらって言ったでしょ」 「それだと、実力を試せないから……」  蓮華楼は知り合いが多すぎた。  幼馴染みの早耶音がいるし、料理長は早耶音の父親で、祖父と仲がよかった。  娘の友人、山路の孫としてしか扱ってもらえない気がしたのだ。  蓮華楼の料理長は祖父を尊敬してるから、比べられてがっかりされるのが怖かったからかもしれない。  スカウトされたというのもあるけど、知り合いが少ないというのもあって、吉浪に決めた。 「でも、立栞。吉浪はね……」  早耶音がなにか言いかけたところで、両親と女将のおしゃべりが終わったらしく、私を呼ぶ声が聞こえてきた。 「おい、立栞。どこにいる?」 「立栞ちゃん、お庭にいるみたい」
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