理解されない悲しい関係

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「――そっか。やっぱりな」  咲結の話を聞き終えた朔太郎は全てを分かっていた口振りだった。 「こうなる事を、俺は心配してた。咲結の気持ちは嬉しいけどさ、この先もずっとそんな思いするのは辛いと思うし、俺としては、咲結にそんな思いはして欲しくねぇよ」 「……でも、それじゃあ私はさっくんと別れなきゃならない。そんなのやだ」 「そりゃ、俺だって嫌だけど……せめてさ、お前が高校卒業するまでは、やっぱり友達って関係に留めておいた方が良いと思うんだよ……」 「やだ! 私はさっくんの彼女がいい! 友達なんてやだ!」 「咲結……」  朔太郎が咲結の為を思って言っているという事は分かる。  けれど咲結は朔太郎と付き合えて嬉しいし、また『友達』に戻るなんて嫌だった。 「私、一人でも大丈夫! もう弱音なんて吐かない! だから、そんな事言わないで……私はさっくんの事が好き……周りから認められなくても、さっくんが居てくれればそれでいい。さっくんが居なくなる方が、やだよ……」  こんな風に駄々をこねたりするから、子供だと思われると分かっていても、他の誰が居ても朔太郎が居てくれなければ意味が無い。それくらい、朔太郎が好きだと実感していた咲結は意見を曲げなかった。  そんな咲結の訴えに何も答えない朔太郎は暫く無言のままで車を走らせる。  そして、途中にあった道の駅に入って端の方に車を停めた朔太郎はシートベルトを外すと咲結の方に向き直り、彼女の身体を抱き締めた。 「さっくん?」  突然の事に驚く咲結に彼は、 「そこまで想ってくれて嬉しいよ。俺だって咲結の事が好きだから、離したくない。けどさ、俺は辛いんだよ、俺のせいでお前が一人になって淋しい思いをしたり、大好きな友達とも離れなきゃいけなくなるなんてさ……自分が何かをされるよりも、耐えられねぇよ」  そんな胸の内を話していく。
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