理解されない悲しい関係

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「さっくん!」  そんな状況の中、咲結はつい大声で朔太郎の名前を口にしてしまうと本人は勿論、対峙していた男たちや野次馬たちも皆、一斉に彼女へと視線を移す。  そこへ、「何やってるんだ!」と、騒ぎを聞き付けたのか誰かが通報したのか、警察官が数人やって来ると、野次馬たちは道を開けるように散っていき、人だかりは一気に無くなっていった。  そんな中、その場に残る咲結と優茉。  警察官に囲まれた朔太郎たちを心配そうに見つめる咲結に優茉は、 「……あんな騒ぎを起こすような人、ろくな人間じゃないんじゃない? 咲結、アンタもいつか、絶対危険な目に遭うよ。付き合うの、止めるべきだよ」  心配してそう言葉を掛けていると、咲結自身分かっているのだけど、それでも朔太郎を好きで、ろくな人間なんて言い方をされた事で少し苛立ってしまった咲結は、 「騒ぎを起こしたのは相手が原因かもしれないし、それに、さっくんはただ、助けに入っただけだと思う。さっくんは優しくて思いやりがあって、ろくな人間なんかじゃないよ? 何も知らないくせに、極道の人だからってだけで決めつけたり、そんな酷い事言わないで」  今にも泣きそうなくらいに悲しい表情を浮かべながら優茉に訴えかけるように言うと、顔を背け、優茉から離れて駐車場へと戻って行った。  残された優茉は去って行く咲結と警察官に囲まれる朔太郎を交互に見つつ、複雑な気持ちを胸に抱いたまま、人混みに紛れ、改札口を通って行った。  車に戻った咲結は席に着くと、ポロポロ溢れ出る涙を静かに拭う。  分かってもらえないのも仕方無い、そう割り切ってはみたものの、やっぱり悲しくて自然と涙が溢れてしまうのだ。  それでも、朔太郎が戻って来た時に泣いていては心配を掛けるだけだと、必死に涙を拭いながら、泣き止むよう楽しい事を考えながら彼が戻って来るのを待っていた。
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