脅かされた日常

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「怖い思いさせて、ごめん。アイツらの動向はこっちでも気を付けてたんだけど、監視が甘かった。奴らは鬼龍組の傘下組織――っつっても分からねぇよな。とにかく、俺らの組織の下っ端みたいなところに居た奴らなんだけど、数カ月前にそこから抜けて、俺らと敵対する組織に行った奴らなんだ」 「……元は、仲間だったって事?」 「まあ、元はな。けど、元々反発する事も多くて問題の多い奴らだった。俺らのやり方が気に入らなくて抜けたって話だったし」 「……それで、さっくんは狙われてるの?」 「いや、まあ、俺よりも鬼龍組組長の理仁さんが狙われてるけど、奴らは鬼龍組全体を良く思ってないから、鬼龍組と関わりのある奴なら誰でも良いんだと思う」 「それで、さっくんと繋がりのある私も、狙われたって事?」 「……ああ」  そこで咲結はようやく気付く。  この前、朔太郎が慌てていた事の重大さに。  咲結は狙われて初めて分かったのだ、自分がとんでもなく危険な世界に足を踏み入れたという事実に。 「――咲結、分かったろ? だから危険なんだ。本来なら今こうして一緒に居る事も、リスクでしかない。お前の友達が言ってる事は、正しいんだよ」 「……ッ」 「だからさ、やっぱりもう一度よく考え直して――」  咲結は自分が置かれている立場を理解出来ていなかった自分が情けなくなるのと同時に、朔太郎とは一緒に居たいけれど、先程のような怖い思いをこれからもするのかと思うと不安でたまらなくなり、何とも言えない気持ちになった。  それでも、朔太郎の事が好きで離れたくない思いの方が勝っていた咲結は、 「……私、考えが甘かったんだね。でも、それでも私は……さっくんと居たい! それだけさっくんの事が好きなの! だから……離れるとか、言わないで? 考え直せなんて、言わないで?」  ギュッと彼に抱きつき、これからも傍に居たいという思いを告げた。
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