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第10話 レアチーズケーキ
私の頬に片手を置き、私をジッと見つめるラファエルを見て私の顔がどんどん赤くなっていくのを感じる。
(もう無理〜! どうしたら……)
恥ずかしさに耐えられず、少し涙目になった私を見てラファエルが思わず吹き出した。
「ぷっ……」
ラファエルは、私の頬から手を離すと代わりに私の頭を撫でてくれた。
「ごめん。ちょっとやりすぎちゃったかな。よく兄上がサラッとこういうことするでしょ? だから僕もやってみたくて。オリアーヌの反応が可愛くて意地悪しちゃった」
「ドキドキして寿命が縮まりました……」
私は、深く息を吐いてからテーブルに突っ伏してラファエルを見上げた。
「でも、オリアーヌと僕だけの思い出を作りたいって言ったのは本当のことだよ」
(そんな綺麗な目で見つめられたらまた晒せなくなる〜!)
「こ、ここのおすすめスイーツは、チーズケーキです。焼いてあるタイプもいいんですが、おすすめは断然レアチーズケーキですね。レモンの酸味が効いたクリームチーズが美味なんです!」
私は、ムクッと起き上がってラファエルにそう説明すると、レアチーズケーキを二つ注文した。
ほどなくして、レアチーズケーキが私とラファエルの前に置かれた。
「いただきます……うん、美味しい。これ、城のシェフに頼んでメニューに入れてもらおうかな」
ラファエルは、目を輝かせながらレアチーズケーキを食べている。
(気に入ってもらえて良かった!)
ほっとしながら、私もレアチーズケーキを口に入れた。
すると、ラファエルが前のめりになり私の耳元でささやいた。
「兄上には内緒だよ……二人だけの秘密」
「んっ! ゴホゴホ! ……ラファエル様、食べている時にささやくのはおやめください!」
「あはは。オリアーヌといるとほんと飽きないな」
にこにこと笑うラファエルを見ていると、とても憎めない。
いつも真面目に城の中で生活している姿を見るのがほとんどなので、今はとてもリラックスしてくれているのだろう。
観念して私も声を出して笑った。
束の間の小さな幸せな空間を、私も目一杯楽しんだのだった。
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