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第16話 心が安らぐ場所
「オリアーヌ……」
「あ、申し訳ございません。ラファエル様がお優しいのでつい、いろいろお話してしまいました」
私は、レアチーズケーキを最後まで食べ終わると手を合わせた。
「とても美味しかったです! ごちそうさまでした」
席から立ち上がり、ラファエルに深々とお辞儀をして部屋から出ようとした私をラファエルが呼び止めた。
「待って、オリアーヌ!」
ラファエルは椅子から立ち上がりそう言うと、私を後ろから抱きしめた。
「!!!!」
「僕じゃダメかな? 僕はオリアーヌに寂しい思いなんてさせない。ずっと好きだったんだ……オリアーヌのこと……」
ラファエルの優しい声に、私の目から涙が溢れてくる。
(ラファエル様が和だったらよかったのに……)
「ごめんなさい……私……」
私が泣いていることに気づいたラファエルが、はぁっとため息をついて言った。
「ごめん。泣かすつもりはなかったんだ。余計オリアーヌを悩ませてしまったね……」
ラファエルはそう言うと、私の正面に回り、私の涙を拭ってくれた。
私は、ラファエルの優しさが嬉しかったことと、その優しさに応えることが出来ない申し訳なさで、もう一度ラファエルにお辞儀をした後その場を後にした__。
ガブリエルが公務で留守にしているため、今日の午後は休みを取ることが出来た。
私は、城を少し出たところにある草原に来ていた。
休みの日はここに来て、ごろんと寝転んで空を眺める。
今は、シロツメクサがたくさん咲いていてとても綺麗だ。
空を見上げていると、毎日の日常から離れられる気がする。
ガブリエルのことで胸が苦しくなることからも、ラファエルから突然告白されたことからも……。
心地よい風に吹かれながら、しばらく空を眺めていた私は、また懐かしい記憶を思い出した。
「そういえば、よく病院の中庭に咲いていたシロツメクサを和と摘んで押し花を作ったっけ。久しぶりに作ってみようかな」
私は起き上がると、懐かしい気持ちでシロツメクサを摘み始めた。
「これだけ集まればいいかな!」
集めたシロツメクサを持って、城に戻るために私が立ち上がろうとした時、頭上から声が聞こえた。
「オリアーヌ」
「えっ……」
私は信じられない気持ちでその声がするほうを見上げた……。
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