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第3話 たどり着いた先は異世界
早朝に目を覚ますと、高い天井が見えた。
こんなメイドごときの部屋でもとても豪華な作りで恐縮してしまう。
お城で働かせてもらえて良かった……。
そんなことをベッドに横たわりながらぼんやり考える。
「あーまだ頭痛い……って! そんなこと言ってる場合じゃなかった! 思い出したわ、全部……」
オリアーヌ・ジレ 二十一歳。
ここロンジェヴィテ王国の城でメイドをしている。
昨日から体調を崩し、高熱のため一人うなされていた。
うなされている間に見た夢。
あれは夢でもなんでもなく、転生前の私の姿だった。
そして、愛しい人、和の姿も……。
お日様に当たると茶色く見える髪、少し垂れ目なくりくりとした可愛い目、鼻筋が通りいつも笑っている優しい口元。
そして、病弱ゆえの儚い雰囲気。
まるで、物語に出てくる王子様のような人だった。
「はぁ……」
王子様か。
私はため息をつく。
実際この城にも今、二人の王子様たちがいる。
私も、他のメイドたちと共にその二人のお世話を任されているのだ。
そこまで考えて、私は妙なことに気がついた。
今まで何も不思議がらずに生活していたが、この国、何かがおかしい。
私はベッドから降り、部屋の窓から外を眺めた。
中世ヨーロッパ的な街並み。
行き交う馬車。
舗装された道路などなく、はだけた地面の土のみが続く道……。
「ここってもしかして……異世界!?」
転生するということは、未来に生まれなければおかしい。
どう見ても、ここは未来というより過去だ。
過去になんて転生するはずがない。
ということは、考えられることはここが異世界だということだ。
「うーん……何で? どうして異世界に?」
転生前、死後の世界での係員の態度を思い出してみる。
あの時、あの人確か「ま、いっか」って言ったよね。
何が、「ま、いっか」だよ!
適当な仕事すんな!
激しい憤りを感じたが、怒ってももうどうすることも出来ない。
「とりあえず体調も戻ってきたし、仕事しよう……」
私は、まとまらない頭の中を一旦保留にして仕事をするための身支度を始めた。
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