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第4話 二人の王子様①
顔を洗い、軽く朝食を食べた私はメイド服に着替える。
そしてメイクをし、髪をツインテールにしてフリルカチューシャを付ければ可憐なメイドの出来上がりだ。
私は、鏡の前で改めて自分の姿をまじまじと見つめた。
金髪に碧眼。
可愛いリボンにツインテール。
転生前は絶対塗らなかった、ピンク色の口紅。
記憶が蘇った今、それらを全て客観的に見てしまう。
「なんか急にメイドの格好が恥ずかしくなってきたんだけど……」
私は、鏡の中の自分から目を逸らした。
しかし、仕事の時間が迫っていることに気づいて気持ちを奮い立たせた。
いけないいけない。
今、私はオリアーヌ・ジレとしてここで生まれて生活をしているんだ。
せっかく掴んだお城での仕事を失うわけにはいかない。
「よし! お仕事お仕事!」
そう言って、私は王子様を起こすために部屋に向かった。
☆
今日の私の担当は、第二王子であるラファエル王子だ。
トントン
「ラファエル様、おはようございます」
「オリアーヌ? 起きてるよ。どうぞ、入って」
「失礼いたします」
私がラファエルの部屋に入ると、ラファエルはすでに着替えており、ソファに座って本を読んでいた。
ラファエル・ローレン 二十二歳。
ロンジェヴィテ王国の第二王子である。
艶やかな栗色の髪。
優しい目元。
鼻筋の通った整った顔に美しい形の唇。
そして二十二歳とは思えないほどの落ち着いた雰囲気が漂う、これぞ王子様という感じの王子様だ。
私は、彼のメイドとして誇らしさを感じている。
「体調が悪いって聞いたよ。もう大丈夫なのかい?」
ラファエルが、読んでいた本を閉じてソファから立ち上がった。
「はい。一晩寝て大分元気になりました。昨日は申し訳ありませんでした」
「いいんだよ。オリアーヌが元気になって良かった。じゃあ食堂に行こうか」
「はい! 参りましょう」
私は、少し離れたところからラファエルの後について食堂に向かった。
食堂でラファエルがテーブルに着いたのを確認すると、私はぐるりと食堂の中を見回した。
(やっぱり居ない……)
私は、部屋の隅に控えている他のメイドに目で合図をした。
しかし、そのメイドは首を横に振っている。
(しょうがないなぁ、もう!)
その場で小さくため息をつくと、私は食堂を出てある場所に向かった。
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