ラブリはお年頃

1/1
前へ
/14ページ
次へ

ラブリはお年頃

 男(まさ)りの私だって、お年頃だ。  彼氏のひとりやふたりほしいのは当たり前のことだろう。  だが子離れ出来ないオヤジはやたらと私の私生活(プライベート)まで干渉してきた。  いつまで経っても私のことを子供扱いだ。  もちろん結婚なんて許さない。  なのでオヤジに隠れてマッチングアプリに登録した。  そこで知り合った資産家のイケメンと意気投合しデートを重ねた。  彼はバッチリ私のタイプだ。  イケメンの上にセレブで、これ以上は言うことがない。  私は彼との約束を守るため隙きをついて、自宅を兼ねたジムを抜け出そうとした。  だがオヤジは気配に気づいたようだ。 「おい、ラブリ。どこへ行く気だ?」  不意に背後から声をかけてきた。  オヤジは、かつてプロレス界のプリンスとしてメジャー団体のトップに君臨していた。  しかし度重なるケガで団体を追われ、落ちぶれ果て今や潰れかけのインディーズ団体、ワイルドプロレスの社長だ。 「はァ、どこだって良いだろう」  私はオヤジを睨んだ。  こっちは年じゅう無休の反抗期だ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加