クラマ

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クラマ

 プロレスの聖地、東京闘道館は異様な盛り上がりをみせていた。  メインイベントは、女子の覆面レスラー最強を決める『覆面ワールドトーナメント』の決勝だ。  勝てば優勝賞金三千円という女子プロレスとしては破格の金額が波乱を呼んだ。  会場が暗くなり尺八や太鼓の音が鳴り響いた。 「おおォーーー」  和風なイントロに乗って、花道に火柱が上がっていた。  ゆっくりと女忍者(くノ一)クラマが姿を現した。   「お、お、おォおおォーーーーッ」  一気に観客のボルテージは最高潮だ。 『マックスボルテージ。女忍者(くノ一)クラマが闘道館のリングに降臨!』  派手なパフォーマンスを繰り広げた。 「クラマクラマクラマクラマ」    クラマは世界一美しい覆面レスラーとして有名だ。  なんと言っても女子プロ界一、二を争う巨乳だ。スタイルも抜群だ。  男性ファンの追っかけが最も多い。  正体不明だが、グラビアアイドルだったのでは噂されていた。  ビジュアルだけではない。  実力も兼ね備えていた。  くノ一殺法で敵を翻弄し数々の強豪を倒してきた。  ひと筋縄ではいかないだろう。 「フフゥン、ビーナス。私が優勝してお前のそのマスクを剥ぎ取ってやるよ」  クラマは私を指差し宣告した。  こっちだって世界一の負けず嫌いだ。  たとえジャンケンだって負けたくはない。 「気合いじゃァーッビーナス。気合いじゃァー!」  セコンドのオヤジは相変わらず喚いていた。
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