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師匠の飽き性
「ねぇラーフ。そろそろこの町にも飽きてこないかい?」
ソファーでくつろいでいた師匠が、サラサラの金髪を散らして振り返った。
今のは師匠が100年に一度くらいは言うセリフだ。最初の2、3回くらいは「は?」と間抜けな顔でフリーズしていたものだが、もう驚きもしない。
その代わり、俺は師匠に聞こえるくらい盛大に呆れのため息を吐き出した。
「またですか。ここは随分と住みやすい町だったと思いますけど」
俺は読んでいた薬草の本から顔を上げる。
薬の調合の真っ最中だと言うのに、この人は本当に人の邪魔をするのが好きなんだから。
いや、単純に俺が課題をやっている間、構ってくれる相手がいなくて暇なのか。
「そうだね。住みやすかった」
「それに、100年間ずっと同じ町並みってわけでもないじゃないですか」
「そうだね。新しい建築物も増えたし、古すぎる建築物は消えた」
「何が不満なんですか?」
俺は師匠との会話を片手間に課題を続ける。
あとはこの葉をすりつぶして鍋に加えて煮るだけだ。火加減を見ておかなければいけないけれど、このくらいなら師匠と話をしながらでも問題はない。
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