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それでも世界中の人に隠し事をしている気がして、早くこの街から出て誰も自分のことを知らないどこかへ行きたかった。
逮捕されたあと、母が代わりに警察と玄関で話をしていた。
気になっていた私は足音を立てずに階段を途中まで降りて身を潜めて、話を聞いていた。
「まさか、綾くんがそんな人だったなんて…。家庭教師としてうちに来てもらっていたんですが、いつもにこやかで優しい方でした」と泣きながら警察に話していた。
母なりに驚き、まさか娘に教えている家庭教師が殺人罪で捕まるなんて思ってもみなかっただろう。
この事件は学校内にも広がって、色んな憶測や批判が飛び交っていた。
綾兄が来れなくなって、別の家庭教師を探して成績は何とか維持できた。
卒業まで私が綾兄と繋がっていることは誰にも言わなかった。
卒業した後は地元を離れて隣県の短大に進学した。
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