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なかなか見つからず、二周目に入りかかった時、 「あ、あの席空きそうだよ」と隆也が指差した。 「やっと席取れるね」と安心して、お腹が鳴り出す。 自分が思ったよりも空腹だったと気づく。 隆也が私の手を引いて、席を目指す。 隆也の先を見ると長身で少し癖っ毛のある男性が立ちあがろうとしていた。 「すみません、この席いいですか?」 隆也が聞くと、「いいですよ、退きますね」と相手の男性が立ち上がる。 1人でこんな大きなショッピングモールのフードコートなんて珍しいなと、相手がどんな人なのか見てみる。 「…あれ?綾…兄…?」 私の声が人混みに紛れ込んでいて聞こえたのか聞こえてないのか分からないけど、男性が一瞬こっちを見た。 前髪が長くて目元ははっきり分からないけど、口元のほくろに見覚えがあった。 私は昔そのほくろに妙に色っぽさを感じていたから鮮明に覚えている。 また声をかけようとしたら、 男性はサッと立ち去っていった。
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