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ハンバーガーを受け取って席に戻る。
「お待たせ〜」と隆也が戻ってきた。
隆也はカツ丼定食にしたらしい。
目の前の隆也はしゃくしゃくとカツを鳴らしながら食べている。
いつもの光景なのに、今だけは後ろめたさを感じてしまう。
さっきから自分の鼓動が落ち着かなくなってきた。
早く食べ終えてここを出よう。
せっかくのオープンで楽しみにしていたのに、あの一瞬で気持ちが滅入ってしまった。
「次はどの店に行きたいか決まった?」
「ううん、まだなの」と軽く答えた。
「これだけ広いしゆっくり歩こうか」
隆也の気遣いが今は棘が刺さるようにいたい。
何にも悪いことはしていないのに。
「私、片付けてくるね」
そそくさと食べ終わり、席を離れた。
私の視線は注文したハンバーガー屋さんでもなくて、綾兄をひたすら探していた。
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