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トレーを返しに行きまた席に戻ると、隆也も食べ終える頃だった。
「お腹いっぱいだな」と水を一気に飲み干す隆也。
「なぁ、どうする?」
「せっかく来てくれて申し訳ないけど疲れちゃったみたい」
「どうした?人混みに酔った?」
そうみたいと席を立ち上がる。
今度またゆっくりと店内を見よう。
今ここにいたら綾兄を探してしまう。ずうっと上の空でふらふらするのが目に浮かぶ。
「じゃあゆっくり帰ろうか」
ごめんねとだけ告げて来たルートを戻る。
危ないからと隆也が私の手を握ってくれた。
さっきのさっきまで、隆也との買い物が楽しくて仕方がなかったのに。
私の体は、私の心は、綾兄を探してしまっていた。
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