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過去のことは一切話していないけど、頭の隅ではもし調べられたら殺人者に家庭教師をしてもらっていたとバレてしまうだろう。
そのとき、隆也はどんな顔をするのだろうか。
哀れ?不憫?そんな感情を持って私に接して欲しくないから、ずっと内密にする。
隆也といると他の人以上に安心する。
この人に守られてるんだって、何もかもが無敵に思える。
付き合って半年で同棲して、喧嘩も耐えない時期もあったけれど、もうすぐ2年が経つ。
そろそろ結婚も考えてるけれど、隆也からはその話題は触れてこないから私からも何も言わない。
隆也のタイミングで家族になりたい。
「俺、そろそろ行ってくるからね。紗綾も無理すんなよ」
ありがとうと伝え、玄関まで見送る。
食器を洗い、急いで身支度をする。
高校生の時に抱いていた謎の恐怖感は、大学に進学し、付き合わなくても男性と遊んでいく中で少しずつ解消された。
今考えるとあの恐怖感は何だったのだろう。
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