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綾くん、という言葉にびくんとする。 光子さんは綾兄のお母さんだ。 綾兄帰ってきたんだ。 『あれ、聞こえてる?』 「ごめん、少しびっくりしちゃって。」 『そうよね、あんなことがあったもんね。紗綾には優しくて、綾くんのおかげで成績も良くなったものね。だけどあんなことがあったのが今でも信じれなくて…』 誰だってそりゃあ信じたくないよ。 私もまだ信じられない部分がある。 綾兄には色んな面で助けてもらっていたのに。 それでも…終わったことだけど、許されないことをしたのに。 「もう、過去は過去だよ。綾兄は優しいんだから!私は何とも思ってないから!」 強く反発してしまった。 自分に言い聞かせるように、自分を制御させるために反発してしまった。 呼吸が乱れそうになる。整えなければ。
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