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『紗綾の言う通りね。私が慌てすぎてたわ。とりあえず報告だけだから。また連絡するね。ちゃんとご飯は食べてね。隆也くんにもよろしくね。』 一呼吸置いて「ごめんね、大丈夫だよ」と 伝えて電話を切った。 本当は大丈夫じゃない。 綾兄が帰ってきた。 私が高校一年生のときに、隣に住んでいた当時大学4年生の綾兄に家庭教師をしてもらっていた。 私の成績があまり良くなくて、これじゃあ進学も危ういと判断した母が小遣い稼ぎにでも家庭教師はどうか?と光子さんに話したのがきっかけだった。 年頃の娘なのに大学生の男性の家庭教師をお願いするなんて、母親としてどうかしてると思ったこともあったけど。 隣に住んでいる大人しいお兄さんのイメージで、まともに話したことがなくて、最初はかなり緊張した。 それでも綾兄は教えるのが上手で、割とすぐに成績が良くなった。
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