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「悠理、大変だよ」
「何かトラブルがあったみたいだ」
「生徒さんが1人、飛び出して行っちゃったよ」
木々達の言葉に境内の外に目を向けてみると、そこでは確かに1人の少女が目の前にある道路に飛び出していくところだった。
制服の集団と同じ服装をしていることから、木々達の言うように同じ学校の生徒ではあるのだろう。
しかし――。
「悠理、あの子泣いてるわ」
肩の上にいたままだった桜花の言葉。
その言葉に、僕はふと足を止めてしまう。
(もし、何か事情があって、集団から離れたのだとしたら……)
ならば、無理に声をかけにいくことは野暮ではなかろうか。
人は誰でも、時には1人になりたい時があるものだ。
けれど、僕のその一瞬の迷いが――目の前で最悪の結果を齎した。
キキー!ガシャン!
目の前で大きく響き渡る、甲高い車のブレーキ音。
次いで、何かが車にぶつかる様な嫌な音が大きく僕の鼓膜を揺らして来る。
なんと、僕のすぐ目の前で――神社から飛び出した女の子が車に撥ねられてしまったのだ。
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