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「そ、んな!」
僕はショックに足をもつれさせそうになりながらも、慌てて撥ねられた少女の元へと駆けつける。
(僕が、迷ったから……!)
迷わずに僕が駆けつけていれば、きっとこんなことにはならなかったのに!
僕は内心激しくそう後悔しながらも、少女の体を抱き起こした。
と、少女の髪に触れた僕の手が、じわりと濡れる感触がする。
見てみると、手のひらが真っ赤に染まっていた。
どうやら少女は、頭からひどく出血しているようだ。
「きゅ、救急車!」
僕は慌ててスマホで救急車を呼ぼうとする。
すると、
「悠理!上を!何か来ます!」
こちらへ駆けつけようとしていた月読様が、鋭い声を上げた。
彼の声に、上へと視線を向ける僕。
と、僕の目の前で空が妖しい紫色に光るや……そこに、ピシリと大きな罅が入る。
そして――。
毒々しい深紅の輝きを放つ、何か光の玉の様なものが、一直線にこちらに向かって落ちて来た。
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