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「あぶねぇ、悠理!避けろ!」
こちらに向かって跳躍しながら、そう叫ぶ素戔嗚様。
しかし、血の様に紅い光の塊は、僕の目の前に落下するや――僕が抱えている少女の体の中に、目にも止まらぬ速さでスポンと飛び込んでしまった。
と、同時に少女の体から……今度はえらく輝きのない、まるでくすんだ硝子の様な光の玉が飛び出してくる。
その光の玉は、まるで糸に引っ張られているかの様にすーっと上へと進むと、そのまま紅い玉が落ちて来たのと同じ……空に出来た罅の中へ消えて行った。
「い、今のは何だったんだ?」
そう呟きながら、腕の中の少女を見下ろす僕。
すると、腕の中の少女がパチリと目を覚ます。
そうして、ニヤリと嫌な笑みを浮かべながらこう言った。
「……入れた……」
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