337人が本棚に入れています
本棚に追加
あれから数日後。
僕と天照様、月読様と素戔嗚様に――それに五道の5人は、あの少女が入院している病院にいた。
実はあの後、僕達の様子を見ていた天照様が根負けして、予備のご神鏡を貸してくれたのだ。
「ほら。これを使いな。ずっと悠理に泣かれてちゃ、こっちの寝覚めも悪いんだよ」
そう言いながら、手のひらサイズの神鏡を手渡して来る天照様。
「これを使えば、わざわざあの井戸に行かなくたっていつだってあんたの裁判所兼自宅に行ける。あたしの権能で、そうしておいたからね。この日本の神の総大将様に感謝しな」
「流石は万能神。恩にきるぜ、天照の姐さん」
「あんたにそう呼ばれる筋合いはないよ。全く」
照れ隠しなのだろうか、無愛想にそう告げるや、天照様はぷいとそっぽを向いてしまう。
「あたしはただ、自分の国の民が……悠理が泣くのを見たくなかっただけさ。あんたがいなけりゃ、どうも悠理は毎日泣き暮らしてしまう様だからねぇ」
「天照様……。ありがとうございます!」
「礼なんていいんだよ。それに、癪だが、そこの馬の骨には大きな借りがあるからね。あの女の子を……あたしの大切な日の本の民を取り戻してくれて、本当にありがとう。こいつはその礼さ。有り難く受け取りな」
「はい!」
銀色に輝く神鏡を手に、微笑み合う僕と五道。
こうして、五道はいつでも自由に僕に会いに来ることが出来る様になったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!