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僕は、そんな彼女の手をぎゅっと握り返した。
途端に、感極まったのか大きな歓声を上げる素戔嗚様。
月読様も柔らかな笑顔を浮かべて手を叩き、天照様は晴れやかな笑顔を僕らに向けている。
「こういう現実の問題は、あたしらにはどうしようも出来ないことだからね。……救いたくても救えないことも沢山ある。悔しい思いも沢山したさ。でも、今回は……悠理?あんたがこの子を救ってくれて……この子の心が闇から救われてくれて、本当に良かったよ」
天照様は心底ほっとした様にそう告げると、優しく僕と少女の頭を撫でた。
嬉しそうに――仔猫の様に、瞳を細める少女。
僕はなんだか、やっと彼女の年相応の表情を見た気がして、安堵の息を吐く。
(良かった。……本当に良かった。僕の言葉が届いて)
笑顔を浮かべる少女を見つめ、心からそう思う僕。
その時、僕はふとあることに気がついた。
「あの、さ?そう言えば……僕達、まだお互いの自己紹介もしていなかったよね」
僕の言葉に「そう言えば」と告げ、少女は小さく頷いた。
それは神様達や五道も同様で、彼らも大きく頷いてみせる。
「じゃぁ……改めてここで、ちゃんと自己紹介をしてみない?」
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