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(きっと、大丈夫だ。僕達の……梓の未来は、明るい)
そう考える僕の胸中を察したのか、いつの間にか隣に立っていた五道が、そっと僕の手を握ってくる。
そうして、そのままニッと笑うや頷いてみせる五道。
言葉にしなくても伝わってくる、彼の思い。
(僕がいて、五道がいて……皆がいてくれるなら、絶対に明るい未来になる)
そして、その明るい未来を――僕は、この人と一緒に生きていこう。
僕は、そんな思いを込めて、五道の手をそっと握り返した。
僕の手を握る五道の手の力が、ほんの少しだけ強くなる。
「五道……」
僕が、彼の名前を呟いたその瞬間、強い力で腰を引き寄せられ、すっぽりと彼の胸の中におさまってしまう僕。
そうして五道は、桜吹雪に隠れ、そっと僕の額にキスをした。
「言ったろう?もう離れないって。守ってやるよ。お前も、お前の笑顔も……お前が大切にしてるものも全部」
「うん。信じてるよ、五道」
手だけではなく、確かに心も重ね合う僕達。
「約束、ね」
僕は、柔らかな眼差しで僕を見つめる五道に向けて、そっと繋いでいない方の手の小指を差し出した。
「ああ。約束する。今度こそ、ずっと一緒だ。誰よりも近くでお前を守り続けるよ。死が2人を分かつまで……いや、死が訪れても、ずっと」
そう語り、そっと僕の小指に己の小指を絡める五道。
そのまま、彼は絡めた僕の小指に唇を落とす。
それが、まるで永遠の誓いの様で――僕の頬を一筋の涙が伝い落ちた。
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