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と、いつの間にか少し離れた場所にいた梓達が、大きく声をかけてきた。
「おーい!先ずは梓の服の買い出しに行くよー!」
どうやら天照様と梓は意気投合した様だ。
他の神々や精霊達も連れ、梓の洋服や日用品など、ここでの新生活に必要なものを買い出しに行くらしい。
「今行く!」
僕も大きな声でそう答えると――五道の方を振り返り、微笑んだ。
「一緒に行こう?」
「ああ」
そうして、手を繋いだまま駆け出す僕ら。
僕と五道、それに梓達が鳥居を抜けたその瞬間、まるで僕達の新しい出会いと門出を祝福する様に、境内に咲く沢山の花々が風に揺れ、花吹雪を降らせてくる。
色とりどりの花びらに囲まれ、顔を見合わせて微笑む僕ら。
(願わくば、こんな日々がずっと続いていきますように……)
僕はそんな願いを込め、大切な人の肩に舞い降りた桜の花びらをそっと手に取ると、キスをし、仲間達と一緒に歩き出した。
まだ見ぬ、新しい未来に向かって――。
【完】
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