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「本日は、よくお参りくださいました」
御朱印を手渡しながらそう告げ、参拝者の方々に頭を下げる僕。
僕の名前は西澤 悠理、16歳。金髪碧眼。
東京は阿佐ヶ谷にある神明宮で神職見習いをしている高校生1年生だ。
この神明宮は、僕の家が代々神職を務めており、僕の父でちょうど15代目にあたる。
ちなみに、僕が金髪なのはスコットランド人の母親の遺伝で、そんな母も現在は巫女として活躍中だ。
そうして、僕はというと、16代目を目指して、目下修行中というわけである。
今時、高校生で神職を目指すなんて珍しいとクラスメイト達からは言われるが、僕が神職を目指しているのにはある理由がある。
それは――。
「ねぇ、悠理?あっちの女の子が縁結びのお守りを探していたわよ?」
僕の肩にちょこんと座り、楽しそうにそう告げる桜色の髪の少女。
他の参拝者には見えていない様子の彼女の正体は、境内にある桜の木の精霊だ。
「本当?ありがとう、助かるよ。桜花」
僕は桜の精霊に手早くそう告げると、彼女が教えてくれた参拝者の少女の元へと近寄り、言葉をかけた。
そう、実は僕は幼い頃から『この世ならざる者達』が目に見え、会話が出来る――所謂、かなり強い霊感体質なのである。
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