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「さすがにこの王子は王様のお相手にはならぬでしょう?子を産めぬ体なのですよ?」
そう言ってララは上手く交わしたつもりだった。王がその鼻をひくひくさせながら醜い顔を近づける。
「私の子などいくらでも他の姫に生ませれば良い。この手に抱かれるそなたが男でもかまわぬのだ。
ん?匂うぞ?女の匂いだ。そなた、若い女の匂いがするではないか。」
獣の王がさらに近づく。醜い獣の鼻がララの胸元あたりでひくひくと動く。
そしてララの顎に、鋭い爪のある毛深い手を掛けた。その手がゆっくりと首を撫で下ろし布を巻いた胸に触れ、首元にみえる布の縁に爪をひっかけて少し下に引き下ろした。押さえつけていた布から立派な胸の谷間が顔を出した。
「やはりそなた、姫ではないか。」
「さすがですね。王様。
誰も、気がつかなかった私にお気づきとは恐れ入ります。」
「この私を騙すことなど出来ぬのだ。もう観念するがよい。」
「私はかねてより唯一の素晴らしい殿方に出会うため、この身を守るため、姫である事を隠して参りました。
今ようやくその時が来たようでございます。」
「ほう。」
「ですからあなた様の事をもっと知りたいのです。これから私と二人で森で散歩などいかがですか?」
ララの目がスカイを見るとスカイが静かに頷いた。
「この私とか?」
「はい。森を散歩しながら沢山互いの事を語り合いましょう。お互いの事をもっと深く知るために王様ともっと二人きりでお話をしてみたいのです。」
「ふん、まあよかろう。」
ベラが目を細め何かを探るような顔で心配そうにそれを見ながらそばにいたスカイに耳打ちした。
「スカイ…、頼みますよ…」
「はい、お任せください、ベラ様…」
スカイがこっそり背後についた。
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