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仮面の婚約者
嫁ぎ先の隣国の噂の王子は昔から、いつも仮面をつけていて顔を見せない事で有名だった。人前で絶対に素顔をさらさない。
その顔には大きな傷があるらしい?
目が片方ないらしい?
悪魔のような形相で目を合わせるのも恐ろしいらしい。
などとまことしやかに囁かれた。
そんな顔も知らない王子の元に将来嫁ぐなんて。ララはそれが嫌で仕方なかった。
それより。彼にも誰にも知られてはいけないのだ。心の奥にしまったはずのこの密かな想いを。
剣術の師匠である彼に密かに恋をしていると言うことを。
隣国の王子様に嫁ぐその日まで、周りの者に私が姫である事もまた、知られてはならない。15の誕生の宴の席で、姫であることを御披露目されるその日までは。それが両家で交わされた約束だから…。
姫たちを狙う野蛮な獣の王はこの世を去った。もう、王子として身を隠して生きる必要はなくなったのに。
ララには親が決めた結婚が控えている。国同士の繁栄と平和のため。
生まれたその日に交わされた密約のために約束は守らなければならない。
もうすぐ隣国に嫁がなくてはならない。顔も知らない隣国のその王子のもとに。
その秘めた想いを隠したまま、恋心をスカイに抱いたまま…。
間もなくララの15の誕生の宴が催される。その日に初めて姫としての姿を客人に御披露目され、隣国の王子との婚約式が同時に行われるのだ。
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