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予言と密約
「王様、万歳!王子様、万歳!」
高い天井まで響き渡る祝福の声がいつまでもなりやまない。
第二王子の生誕を祝う宴が今年も盛大に行われ明け方まで続いた。
__それは今から遡ること十三年前の今日…。その尊き命は誕生した。
*
隣の国の偉大な王がお祝いの品々を携えてやってきた。
「王子様の誕生、誠におめでとうございます。謹んでお祝い申し上げます。」
すると王は王座から立ち上がり、客人である隣国の王の元に歩み寄る。
その隣国の王の耳元で王が小さな声で囁く。
「あれは王子ではない。姫である。」
「なんと…?」
「これ、先程の者をここへ連れて参れ。」
王が近くの者にそう声をかけると扉が開き、怪しげな身なりの占い師が顔を出した。
「先程そちが申したことをもう一度、この方の前で申してみよ…。」
その占い師が姫の誕生に伴い将来を予言したのだった。
「本日お生まれになったこの姫様は、この国を救ってくれたこちらの国の王子様と将来、婚礼を挙げることになるでしょう。さすれば両国に平和が訪れます。もしもどちらかが婚礼を拒むなら互いの国はもろとも滅びることになりましょう。
この先、両国の王子様と姫様の二人の結婚を妨げようとする敵が現れ命を狙われる事になるでしょう。
その試練を乗り越え、めでたく結ばれた時、お二人にも両国にも本当の平和が訪れる事でしょう。」
「なんとなんと…。
将来、この姫ぎみが我が国の王子の妃に?」
「互いに隣国同士、友好の証として姻戚関係を持つためにもこの婚姻を望む。互いの国の繁栄と平和を祈って。」
「あの山の向こうの獣の王のせいで昨今、深刻な嫁不足に陥っておる。そんな中で姫ぎみの誕生は大変貴重であるのだぞ?本当にこんな占い師の予言なんかを信じて?王はそれで誠によいのか?」
「我々もあの、憎き獣の王などに大切な娘を渡す気などない。この娘がそちらに嫁ぐその日まで、この子は王子として育てるつもりだ。どうかそちらの王子様のもとに嫁ぎこの娘が将来幸せに暮らせることを心から願っておる。」
「海に面した我が国としても、鉱物資源や食物の豊富なこちらの国と親交を深められるのは願ってもない事である。互いの国の将来のためにも王子と姫との結婚はこちらとしても望ましい事だ。」
「過去の我が国を救ってくれた恩に報いるためにも是非そうして頂きたいのだ。姫が15の誕生日を迎えた暁には娘をそちらへ嫁がせる。
ここで、本日これをもって密約を交わし、生まれたばかりのこの姫を将来そちらの国の王子の妃として送り出す事を決めるものとする。」
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