剣術の稽古

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剣術の稽古

 さて。どうしたものか。  姫だとバレてしまっただろうか…。  その心を探るも無表情な彼の美しいその顔からは何も見えてこない。  今、目の前にいるこの男はあの森でのことに一切触れて来ない。  確かにこの男は、森で会った男のはずだった。私を娘と呼んだあの男。  あの時の娘が、この目の前の王子である事に全く気づいてないと言うのだろうか…。  でも確かに、あの時。  初めて彼と正式に挨拶を交わしたあの時、私の顔を見て一瞬驚いたような顔をした。  なのに彼は平然と挨拶を交わし私を王子様とそう呼んだ。  あれから一度もその話をしてこようとはしない。こちらも至って普通に彼の前では王子として振る舞う。  ずっと気にったままあの時の事を今も聞けずにいる…  誕生日を祝う宴は無事に終わり、翌日からこの剣術使いのスカイはいつどこに行くにも第二王子のララのそばに付き添い、護衛として側で控えるようになった。  今日もこうして時間が空くとスカイが剣の握り方から教え、時間を見つけては剣を交えて稽古をつける。  兄のエドもやって来て三人で剣を交えた。スカイはエドにも細かく指導をした。  二人の王子はやがて、目を見張るほど剣の扱いが上手くなっていった。  不思議だったのは、この双子のような見た目の兄のエドとララは本当にそっくりで見分けるのが難しいはずなのに、黙ってエドのふりをしてもこのスカイにはすぐにバレてしまうことだった。  二人の違いと言えば少しだけエドのほうが背が高かったが、この頃はまだ隣で並んでみないとわからないくらいの差だった。それなのに…。なんでだろう。  見ただけで二人を見分けられるのはこの、先を見通す不思議な目を持つ乳母のベラただ一人だけのはずなのに。
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