かぜ

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かぜ

ある日、ぼくは考えました。 風…というぼくは何なのだろう。 形もないし、色もない。 じゃあ、何なんだろう。 ずっと吹いていられる訳じゃないし、ぼくが自分で吹かしてる訳じゃない。 竜巻さんや北風さん台風くん、有名な風も、何かが起こってるからうまれる。 名前もないし、ただみんなの側を通り抜けるだけのぼくは、なんなんだろう。 べつに何でもいいのだけれど、ぼくはぼくが気がむいた時にだけ吹きたい。 空くんや海くんや雲くんがいなくても吹いてみたい。 地球は広いって聞いたことがある。 どれだけ広いのか見てみたい。 とおくとおく、見たことのない場所まで吹いていきたい。 竜巻さんだったらいけるのかな? 北風さんだったらいけるのかな? 台風くんだったらいけるのかな? ぼくにはいけないのかな? あした、ぼくが吹かなくても、きっと皆気がつかない。 きのう、ぼくが吹かなくても、皆気がつかなかったもの。 ぼくはどこにいるんだろう。 ぼくは何をしているんだろう。 ぼくは、きっと何でもない。けれど、何でもないぼくは、皆にみつけられない。 皆はぼくをつかまえられないし、見ることもできない、それは凄いことだと思う事にしよう。 ぼくは、きっと、とおくに行ける。だれにも気がつかれないまま。
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