6人が本棚に入れています
本棚に追加
数日後、移動教室の際に碧が廊下を歩いていた時の事。
目的の教室に向かう為、上級学年の教室を通り過ぎた時だった。
ふと『二年A組』と書かれた教室から出てくる女子生徒は、数日前に海で見た『彼女』だった。
「あ…」
「あ、あの時の!先輩だったのか…じゃなくて、先輩だったんですね!俺は紺野碧です。先輩は…」
まさか同じ高校に通っていると思わなかった。
何なら彼女は大学生でもおかしくないとすら思っていた。
彼女の大きなガラス玉みたいに綺麗な瞳と目が合った直後だった。
彼女はツン、と碧から目をそらし、さっさと歩き出してしまった。
「ちょ…っ、あ、あの…!」
「…君の事なんて知らない。」
そう素っ気なく言って颯爽と居なくなる彼女。
なぜかはわからないが、耳は真っ赤だった。
「何なんだ…?」
一枚の絵のように美しい神秘的な彼女は、酷くミステリアスだった。
素っ気なくされたが、妙に引っかかる。
「よう、一年生。お前も振られたか。」
振り返るといたのは二年生の教室から出てきた男子生徒。
「先輩…『お前も』と言うことは、彼女は誰に対してもあんな感じなんですか?」
「彼女は瑞原凪沙。雑誌のモデルをやってるから、学校で知らねぇ奴はいないぜ。」
「モデル…。」
確かにスッキリとした目鼻立ちや長い手足、白い肌は、モデルと言われてもおかしくはなかった。
「けど、瑞原さんはクールビューティーで近寄りがたいからな~。すっげー美人だけど、高嶺の花って感じだ。」
「そうそう。ぶっちゃけ…浮いてるよね。
愛想無いし、学校も仕事を理由に休む事もあるし。」
出てきた二年生の女子生徒もそんな事を口走る。
「…なるほど。ありがとうございました。」
最初のコメントを投稿しよう!