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歪みはじめるストーリー
ハルナは食い入るよう見ている。カナは欠伸をしてポップコーンを摘まんだ。冒頭からよくある内容だ。尻込みする主人公の女子を周りの好奇心ありありの連中が無理矢理と連れていく。そして分岐点だ。
「私だったらやっぱり行かない……」
暗闇の中、ハルナの耳元でカナは囁いた。
「そんなんじゃ話、進まないでしょ。怖い場所に行くから面白いのよ」
スクリーンでは主人公が無理矢理連れて行かれそうになる。そして渋々、主人公がついて行く。お決まりのパターンに向かう。
「やっぱり──えっ?」
何か様子がおかしい。ついて行こうとした主人公が急に立ち止まり、延々と説得し始めるのだ。すると仲間の一人が主人公に同意する。それが波紋のように広がり、行こうと言い出した仲間までやっぱりやめようと言い出したのだ。ストーリーの導入で挫かれた。
──何? どういうこと? これは違うパターンなの?──
そしてメンバーはその呪われた家から踵を返し解散していく。
「ハルナ、どういうことよ? これじゃ──」
しかし、ハルナは無言で映画に見はまってる。
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