特別をあなただけに……

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特別をあなただけに……

 一人取り残されるカナ。 「えっ? 何? なんで! ハルナ──」  いくら立ち上がろうとしても立てない。足が動かない。  上映会場に一人取り残される。清掃の人間が入ってくる様子もない。すると突然場内アナウンスが流れ出した。 「今回、上演内容がのびましたので引き続き上演をいたします。是非、お楽しみください」  カナはそんな話を聞いていない。それに辺りを見渡してもカナしかいない。他は誰もいない会場。  ──何が起きてるの?──  またもやアナウンスが流れる。 「今回は特別な上演内容でございます」  会場は暗くなり上演が始まる。またもや同じ場面からスタートした。そして同じように場面が繰り返される。しかもまったく同じ内容だ。たんたんとした日常が繰り返される。 「なんなのよこれ? どこが特別上演よ──!?」  カナは何度も身をよじらせ席を立とうとするが動けない。こんな状態、ましてやこんな内容では楽しめるはずもない。 「あっ、もう少しでエンドロールが……もうすぐ終わるはず」  また会場が明るくなった。そして……またもやアナウンスが流れる。 「また上演がのびましたので引き続き上演いたします」  暗転する会場。カナは一人でまたそれを見ることになる。
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