第一章 空港での再会

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「すみません。私たち帰ります。ほら、莉愛、帰ろう。昨日あんまり寝てないんでしょ?」  莉愛は否定もせず、私に体を預けたままだ。これはタクシーを拾ったほうがいいかもしれない。大学の近くのお店だから歩いて帰れないこともないけれど、足元がふらついている莉愛を支えて彼女の家まで行くのは難しい。  私より少しだけ背の高い莉愛を促し、大通りの方に足を向けた。  「俺も付き添うよ」  タクシーを拾おうとしたら不意に声をかけられ心臓が跳ね上がる。一瞬目を疑い、反応できない。 「わーい。進藤くんだ」  先に答えたのは莉愛で私は信じられない気持ちになる。莉愛はとっさに私からもたれかかる相手を彼に切り替え、私は急に身軽になった。  進藤くんが手を上げると、タクシーはさっと止まり莉愛と彼が後部座席に、私は助手席に乗りこむ。莉愛のアパートを告げ、ゆるやかにタクシーは走り出した。  もしかして私、お邪魔なのかな?  彼が付き添うと言った時点で私は引くべきだった? でも彼は「俺も」って言ったし。  甘えるように進藤くんの腕に自分の腕を絡めている莉愛に対し、彼は拒むでも受け入れるでもなく平然としている。その様子を視界に捉え、理由はわからないけれど、わずかに胸が痛んだ。  莉愛のアパート近くでタクシーを降りて彼女を部屋まで送る。進藤くんには、ついてきてほしそうではあったが、私も降りてよかったのか。とはいえこのまま彼に任せっぱなしなのも……悩みつつ莉愛の部屋の前までやってきた。
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