第一章 空港での再会

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 今日飛行機がキャンセルになった分、明日の便に予約を取り直そうとしたが、その前に訪れる予定だった姉に連絡をしたところ、体調を崩している旨を伝えられ今回の旅行自体を断念したのだ。  凌空には申し訳ないが、また飛行機に乗るチャンスはあるだろう。  仕事も明日から休みを取るよう調整していたので、そのまま夏季休暇にするか迷ったが念のため報告の電話をした。  すると、ここ数日で急遽休みが必要になった人が複数いたらしく、できれば出社してほしいと言われ、夏季休暇は改めて取ることにする。  凌空とふたりでゆっくり過ごすことも考えたが、今の私は綾人と再会したせいで余計なことを考えそうで怖かった。こんなときは日常に身を置いていた方がいい。  綾人と会ってそれで終わりにしたら、凌空とふたりででかける計画でもたてよう。  用事を終え、今度こそ寝ようとしたらスマホの通知を知らせるライトが光っていた。  緊張して確認すると綾人から返信があった。彼のスケジュールは明後日が休みで、四日勤務したあと二日間休みだと綴られている。やはりパイロットという仕事はなかなか変則的で大変らしい。  今すぐ返事をしたい気持ちを抑え、明日出社して仕事のスケジュールを確認してから返事をしようと決める。  綾人とまた連絡をとる日が来るなんて。  やっと寝るだけになったのに、心臓が早鐘を打ち出し、なかなか眠れそうになかった。
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