第一章 空港での再会

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 進藤(しんどう)綾人。ちょうど今の季節、大学三年生の夏に出会い、社会人二年目を迎える前に別れた相手だ。  すらりと背が高く、くっきりとした目鼻立ちは相変わらずで、癖のない黒髪は最後に会ったときよりも短くなっている。けれど着ている制服にぴったりで、爽やかな雰囲気は変わらない。  言葉を失っている私に彼は一瞬顔を歪めたあと、笑みを浮かべた。 「久しぶり。こんなところで会えるなんて思わなかった」  眩しい笑顔にホッとしたような、胸がチクリと痛むような。おもむろに立ち上がったものの彼の顔がまともに見られない 「飛行機、乗るようになったんだな」  その言葉に胸がざわつく。おそらく深い意味はない。 「乗ろうと思ったんだけれど、予定していた便の飛行機は飛ばないらしくて」 「ああ。情報は聞いている。迷惑かけて悪いな」  乗ろうとしている飛行機は綾人が自社養成パイロットとして採用されたところだった。意識はしていたもののまさか本人に会うなんて。でも彼はどうやら私と別れてから、無事に副操縦士の資格を取得して活躍しているらしい。  その事実に安堵する。すると綾人の視線は凌空に注がれた。 「可南子の子ども?」 「う、うん」  つい声が上擦ってしまう。けれどこの状況で凌空のことに触れないのも不自然だろう。紹介しようとすると、綾人は腰を落として凌空と目線を合わせた。 「こんにちは。名前は?」 「やまぐちりく。にさい!」  条件反射で凌空は元気よく答えた。手で二を示すのがまだ難しいみたいで、最近は親指と人差し指を立てて二を表している。そこらへんはご愛敬だ。
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