第一章 空港での再会

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 初めての飛行機を凌空と乗ると決めて、久しぶりにやってきた空港で綾人と会うなんて。  もう二度と会わない覚悟をしていたのに、たとえ会ったとしてもその場限りで上手くやり過ごすつもりだった。綾人も私にはもう関わりたくないだろうし、なんなら忘れたい存在になっているだろう。  ふと連絡先を書いたメモを見る。走り書きなのに見やすい彼の字に懐かしさで胸が締めつけられる。これは、私には不要だ。綾人の連絡先を結局は消せず、未練がましく残している。  何度も連絡しようか迷って、そのたびにやめた。もう彼とは会うことがない。会えない。  そう思っていたのに……。  そっと凌空の鼻からハンカチを離すと鼻血は止まっていたが、鼻についた汚れは洗った方がいいかもしれない。汚した床と靴をさっと拭いて、お手洗いに凌空と向かう。 「凌空、大丈夫?」 「うん。だいじょうぶ!」  どうやら機嫌は損ねていないようだ。珍しい。  汚れが落ちるかどうかもわからないし、洗ってこのハンカチを返すより、新しいものを用意した方がいいよね。  綾人のハンカチを持ち、考える。  ずるい。こんなことされたら無視できない。連絡するしかないじゃない。  心の中で少しだけ悪態をつく。もしかしてここまで見越して彼は行動したのだろうか。   その考えをすぐに打ち消す。
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