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VIII
ーSide 猪塚美晴（31）
31歳の私も、まだ独身期間の延長中だ。
今は婚活相談所に通っている。
「その条件ですと、こちらの方と相性が良いかと」
画面に表示されたのはカエルの親戚みたいな人。
「あの、容姿はもう少しかっこいい人の方が良いです」
「猪塚さま。宜しいですか？ 今後の人生を考えると今の時期が一番若くて凛々しい時期なんですよ」
（御託は良いからイケメンを出してよ！ 高い入会費払ってるんだから！）
事務員はため息をつく。
「こちらが前回までのデートの感想シートです。2名の方から匿名でご意見が来ております」
「げぇっ、何コレ。”顔は好みだったけれど、中身はもう少し磨いた方が良い””社会について勉強した方が良い”。お医者様が悪口ですか？」
「猪塚さまご希望の高ランク男性ですが、もう私どもからはご紹介が出来かねますので......」
「私じゃ相手にならないってこと！？ もう良いです。退会します。会費返してよね」
私はバッグを引ったくって出て行こうとする。事務員は淡々とこう告げた。
「お客様都合での退会にはご返金は出来かねます」
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