VIII

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*  今日は久しぶりの実家に帰る日。  リビングには白髪混じりの先客がいた。 「あらー! 美晴ちゃん! 綺麗になって!」 「矢上のおばちゃん」  矢上の母がうちの母と話に来たらしい。 「勇登ったら、同棲までしてた彼女と駄目になっちゃって。ホント情けないわぁ。もうホント良いところ一つもない息子よね」  矢上のおばちゃんは少し毒っ気がある。身内サゲが酷くて、特に息子に対して容赦がない。 (矢上、可哀想) 「おばちゃん。矢上......勇登君はそんなに悪くないよ」 「そうかしらぁ? あの子いい子だったのに。もう勇登とデートしてくれる子すら居ないわよ」  なんだか急にむかむかしてきた。 (私達とおばさんたちの時代は違うんだ。結婚が絶対の価値観じゃないし、恋愛だってしたくない人は多い) 「結婚出来ないなんて何か欠陥があるのよ」  私の中で、何かが弾けた。 「私が勇登くんとデートしますから!」
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