15人が本棚に入れています
本棚に追加
*
今日は久しぶりの実家に帰る日。
リビングには白髪混じりの先客がいた。
「あらー! 美晴ちゃん! 綺麗になって!」
「矢上のおばちゃん」
矢上の母がうちの母と話に来たらしい。
「勇登ったら、同棲までしてた彼女と駄目になっちゃって。ホント情けないわぁ。もうホント良いところ一つもない息子よね」
矢上のおばちゃんは少し毒っ気がある。身内サゲが酷くて、特に息子に対して容赦がない。
(矢上、可哀想)
「おばちゃん。矢上......勇登君はそんなに悪くないよ」
「そうかしらぁ? あの子いい子だったのに。もう勇登とデートしてくれる子すら居ないわよ」
なんだか急にむかむかしてきた。
(私達とおばさんたちの時代は違うんだ。結婚が絶対の価値観じゃないし、恋愛だってしたくない人は多い)
「結婚出来ないなんて何か欠陥があるのよ」
私の中で、何かが弾けた。
「私が勇登くんとデートしますから!」
最初のコメントを投稿しよう!