手紙 #08

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 店先と言う言葉から、最初から私も人さらいの目的として近づいてきたことが分かった。 「泣きわめいたら助けてもらえますか?」 「ふふ、この状況で冗談を言える子なんて初めて」  これで複数の子が捕まっているのは確定した。  たぶん学校で起きている失踪事件の犯人はきっとこの人だ。 「冗談ついでに教えてくださいませんか?」 「いいわよ。機嫌もいいし、笑わせてくれたから教えてあげるわ」  ここである事を聞き出せれば私は助かる。 「澪さんを探していたのはどうしてですか?」 「この家から逃げたから」 「逃げたから興信所を使ったんですか?」 「いいえ、獲物に対してそこまでしないわ」  私はやっぱりと肩を落とす。興信所に頼んで提出された写真が1枚とは考えづらい。  なにより興信所なら追及した詳細な資料が有ってもおかしくないのに、それすら見せないのは興信所の存在が疑われ、あの写真は佐々木さんが標的にした時の隠し撮りだと確信した。 「獲物、獲物って何ですか?」 「獲物って動物を捕まえるあれよ」 「……どうして捕まえるんですか」 「魔力の供給の為よ」  この言葉で佐々木さんが何者か確定し、聞きたかった事が知れた。 「そうですか……」 「勘がいい貴女なら獲物になる覚悟はできたのかしら」
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