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「……」
意識が朦朧している中での出来事に、私は都合のいい幻覚を見ているのではと思ったが、それを打ち消すように、倒れ込んでいる頭上から、聞きなれた不敵な笑い声に意識を覚醒させた。
「ふふ」
「……赤」
「おや、空蘭。拘束されてそんな所で寝ているなんて、どうかしたのかな?相手が従属者だから手を抜いているのかな?それとも相手の力量を見誤ったかな?」
赤はこの状況を最初から観察していたのだろう、わざとらしい芝居口調と相手の力量を見誤った事を言い当てられ私はイラつき始める。
「説教はいいから、たすけ、ろ……」
「おやおや、お願いするにしては言葉使いがなってないね空蘭。相当切羽詰まってるのかな?」
そして弟子が衰弱している状況を見て楽しそうに私を煽ってきたことに、感情を抑えきれずに私はこう答えた。
「潰すぞ……カス」
「ふふ、このまま弟子である君が従属者程度に消されては、僕の名前に傷もついてしまうから、これを使うといい」
私が反論する前に赤はそう言い残した瞬間、私の目の前に指先ほどの小さい火が現れた。
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