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「いいかぁ?シルエット・Qに、この沼の秘密を教えてはならない。それが俺の使命だからだ。もし知られたら、――俺まで空っ方になっちまうかもなぁ」
屈んだ体勢のまま、廃棄予定の旧式レジスターに片足を乗せる。しかし、やる気は乗らず、再び足を戻してしまう。
クライム・Bは窓枠に飛び乗り、両の手を広げ、右脚と左脚を絡めた――ハミダシ草の様に。
「お前の代わりに、高らかに言わせてもらうぜぇ。俺達がすべきことは、シルエット・Qを利用して、お前の指を見つけ出すことだ!」
そう言い放つのと、窓を開け放つのは同時だった。
クライム・Bは鉄棒の地獄回りの要領で、外の大地へ降り立った。
きっと、日課の花摘み――トイレではなく文字通りの花摘みに出掛けたのだろう。
ここ、花屋"花屋"は、新鮮に自生していた花を直接ブーケにしている。
道の花を摘んで、誰かにあげて良いのなら、花屋を強盗しても良いんじゃないか、とクライム・Bはよく口にする。僕だったら……そう思うだろうか?
"花屋で買った"と云うレッテルに金を払って、愛する人に贈るのは気が退けるらしい。
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