夏目カリギュラ

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 クライム・Bは、花(特に花言葉)も、花屋も、花を買う奴も、花屋の花を貰って喜ぶ奴も嫌いな、曲者なのである。  "沼"、正式名称は不明。多分、底なし沼。何年か前から、花屋の裏手に在る。  物をいくら捨てようと、枯れない。  沼を探すと、必ず何かを発見できる。  沼の詳細は、クライム・Bの家系の者しか知らないはずだが、よく、捨てた記憶のない物も掘り出される。  一度だけ、泥の中から掘り出した瞬間、汚れが消え去った事例がある。  その件の理由は不明。写真は残っている。  九月三日は、快晴だった。  相変わらずシルエット・Qは、教室で泣いていた。涙で、顔中の部位が揺蕩っていた。筋雲みたいだった。  この日から彼は、熱心に説得せずとも花屋に来てくれるようになった。  僕は詳しい事情も説明せず、彼にスコップを渡した。「掘ってくれ」、と沼を指した。  僕は一つ、憂患がある。シルエット・Qは本来人気者なのだ。昼休みには上級生と校庭の真ん中でサッカーをするような人物なのだ。  僕なんかと仲良く泥弄りをしたところで、彼にとってなんの(プラス)も生まれない。
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