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やっぱりな、と、クライム・Bはボロノイ模様の白い鉢を出してきた。
欲しい物があれば、直ぐさま食指を伸ばしてきそうな、南国で育ってそうな、植物が植わっていた。
「アロエを食えば、医者要らずぅー」
彼は棘々しい枝?葉?を、予め引いてあったミシン目に沿って千切り、中のゼリーを啜った。
僕にも勧めてくるが、謹んで断った。
「万が一にさ、それが正夢になったりしたらさ、今日学校を休んだことを一生後悔する。その一生を、あと一週間で辞めてしまうかもしれない。責任は、誰がとる?」
クライム・Bは、手に刺さりっぱなしの棘を、大振りで抜き始めた――苛ついている証拠だ。
「おいじゃあぁよぉ、今、学校の前まで行って、確かめればぁ良いじゃぁないか」
「それが面倒だから、どうしようか悩んでいたんだ」
クライム・Bは舌打ちした。「ドクター・Gが」、と吐き捨てた。
彼は基本的に寛容なのだが、敬意を払われないと、正常に生きていけないのだ。
雨雲は猫の様に重なり、朝顔の向く方には、隣町があった。
それだけ、沈黙があった。
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