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「俺が行ってやるよ。小学校へ行って、あ~不審者だ、って指差されに行くよ。お前、空っ方になったって言うけどよぉ、あんま変わってないぜ、普段と。いつまで経っても、殺したい奴の一人も見つけられない……」
彼のその後の言葉は覚えていない。きっと、酷く罵倒していたと思う。店内の毒草を口に詰めようとしたかもしれない。
僕は、眠くなかったが、突然昼寝した。
最後の記憶は、強い風だった。
風が吹けば、海が啼く……
"海の家"、そこに俺は住んでいる。
アロハシャツの前を開け、焼きそばを持った毛脛が往来する、あの"海の家"じゃない。
海の眼の前にある、家だ。低層マンションだ。
元はホテルだったらしく、シンプルで充実した内装の家々が、海岸線に合わせている。
サントリーニ島を安く済ませた見た目をしている癖に、キョロ充みたいな建ち方をしている。
端の棟の住人は、もう一方の端の棟を知らないくらい、長く連立している。
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