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遮る物のない海は、眩しい。海なし県在住の方にも分かるように言うと、目を瞑っても眩しい、瞼の裏を震わせて脳に届く細波の旋律だけで眩しい。初めて海岸を遊歩するときには、是非気を付けてほしい。
そんな海を、別の意味で直視できなくなったのは、いつからだろう?
去年、クロールで25m泳げるようになったのだが、怖くって仕方ない。
海の中で、寂しくって泣いたって、届きやしないらしい。
イヤホンを付けた革靴が右往左往する都会でもそう云うことが起きるのだが、海の中では絶対に泣き声は届かないのだ。涙も泡沫に成って征く。
だから、最期にここを選んだ。
生を超越する瞬間に、海洋への恐怖も克服しようと思ったのだ。
花紺青と云うのは、俺が最後に見た常世だ。
そして、君はそんな俺を一番傍で見ているんだろう?
そうに決まっている。なぁ、見ているんだよ
「シルエット・Q」
泥の様に眠る、と云う言葉は、どういった経緯で生まれたのだろう?
今のこの状態に陥った故人がいたのかもしれない。
恐らく、僕は昼寝をしている間、何者かによって、泥中に沈められた。
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